第1回
販路コーディネータの活動
はじめまして、小塩です。と言っても、今日もきっとまた、わたしは講演やセミナーなどで、北海道から沖縄まで全国各地を飛び回っていますので、もう、どこかでみなさんとお会いしているかもしれません。
ということで、はじめての方も、お会いした方もなかなか時間がタイトななかでのお話でしたでしょうから、ここではざっくばらんにお話を進めさせていただきたいと思います。
さて、この著のはじまりは、販路コーディネータについてです。販路コーディネータの活動分野は、大きく商業系、工業系、IT系、環境系、サービス系に分かれています。協会にはそれぞれ専門の販路コーディネータが在籍しています。
今回は丁度、タイトルが「旅」ということで、地域資源と観光資源に絡んだお話から始めたいと思います。
販路コーディネータの活動に、特に商業系の方にとっては「農商工観光連携」という役割があります。
農山漁村には、その地域の特色ある農林水産物、美しい景観など、長い歴史の中で培ってきた貴重な資源がたくさんあります。
農商工観光連携とは、このような資源を有効に活用するため、農林漁業者と商工
業者の方々がお互いの「技術」や「ノウハウ」を持ち寄って、新しい商品や
サービスの開発・提供、販路の拡大などに取り組む事業活動です。
(社)日本販路コーディネータ協会では、販路コーディネータとともに、観光コーディネーター、観光特産マイスターの育成を目指しています。
いままで、社団法人日本販路コーディネータ協会は公的支援事業、研修活動、資格認定活動などを、全国各地で実施させていただきました。そのどの地域におきましても、地域資源は多様な分野にわたり、特に農林水産物資源に恵まれていました。
日本の各地には、それぞれ人が住み始めたころからの歴史があり、たとえば数百年
継承してきた技術などには、それを有効とさせてきた地域の人々の知恵と努力が
凝縮されてできたものが数多くあります。
それは単なるアイデア倒れにならずに「ものづくり」にこだわることができたからだと考えています。今後、本事業を実施した地域においても観光と融合した商品開発による商品の育成が望まれています。
私たちはいずれも豊かな観光資源を持つ一連の地域特産品の情報発信を行い、地域企業の啓発に務める他、地域の関連支援者にも情報を公開して、単なる検定試験に終わることなく、基礎的観光特産品に関する知識、またより高度な観光特産品のスキルをより広く浸透、普及させることが重要であると考えています。
1)地域特産品には
・観光、農林水産物や地域の文化など地域資源と密接に結びついているもの
・その地域で量的に多く生産されているもの
・その地域で昔から生産されてきた食材を原料として使った加工食品など
・その地域に伝わる技術(加工方法、栽培方法、伝統の技法等)を生かして得られたもの
・その地域独特のメニュー、食べ方、使われ方をしているもの
などがあります。
地域商品の特徴
<長所と考えられる点>
◎安心・安全 ◎素朴(田舎感) ◎伝統のよさがある
◎どこにもない素材、技術などを持っているものなどがあり
<欠点と考えられる点>
◎ひとりよがりなものも見うけられる ◎価格は少し高目のものも多い
◎特長が表現しきれていないもの もあります。
また、地域特産ブランドには、生産量は少量であるが、地域限定的な生産で、他にない特徴を有する特色ある産品で、食材にこだわる料理店や愛食家など、特定の消費者・消費地をターゲットとした販売戦略の展開が見込める産品を対象としているものもあります。
さらに、学校で学ぶことは、地域の特産品の理解になるでしょうし、一般的には「お土産は何にしたらよいのか」、「ギフトとして贈りものをするのには何が良いか」と悩むのも消費者の観点でしょう。また、まだ知られていない旅の楽しみを発見し、同じ旅行も、地域に潜んでいる隠れた名所、名物などを知ることで新鮮な発見があります。
さらに、これからは、安全や安心、品質などの信頼の上に立って、産地特産を「市場の視点」で、より公正な「複眼の目」で見ることも重要になる時代であるといえるでしょう。
さて、コンサルティングは辞書によれば「業務または業種に関する専門知識を持って、主に企業に対して外部から客観的に現状業務を観察して現象を認識、問題点を指摘し、原因を分析し、対策案を示して助言を行うことである」と書かれています。
しかし、販路コーディネータは違うと考えています。単なるコンサルタント集団ではないと考え活動しています。
それは、「助言=アドバイスをする」だけでなく、実際、市場を見て依頼先の方向があっているのか、間違っているのかを突き止め、販売・マーケティングまでの活動支援をする人ということです。
これまで一部の経営コンサルタントに見られたように、財務や労務、人事や管理などの課題解決案のみ終始して、外側にいて客観的視点で助言する従来のアドバイザー的なコンサルタントではないとする考え方です。
それは、直接販売する、売る責任を(メーカー様やセールスレップと連携するなどして)伴っていることができれば一番良い、ことと考えています。
実は、従来の経営コンサルタントと販路コーディネータとの違いは、ここにあるのだと思います。
さて、今日もまた、出会える「製品」が「いい商品」ばかりであることをいつでも願って旅をしているでしょう。しかし、そのような商品が少ないのが実態です。
つくっただけの『製品』と商いになる『商品』には大きな川が流れているのです。
それは、「つくってしまってから売れない」という『出来ちゃった商品』がまだまだ、世の中には多くあるからです。
(:こしお いねゆき) |