第17回
「セールスレップへの期待」
製造・開発に取り組み成長を目指す中小メーカー様の大部分は、意欲はあるものの人材や資金力などの経営資源が少ないため、良い商品を開発しても費用負担が重く販売まで手をかけられず、また、開発者としての強い思いが先行して良い製品と思って開発したものの、結果として市場ニーズにマッチしない製品を製造し、売上実績が上がらずに財務負担、特に資金繰りに苦しむことが少なくありません。
セールスレップは、メーカーと販売先を結ぶ橋渡し役として「販売のコーディネータ」の役割を担うと人材として注目され、近年その数が急速に拡大しています。
特に、中小企業やベンチャー企業など、販売員を社員として雇用、教育することが難しい中小企業では、「独立事業者のセールスレップ」は、販売機会拡大の販売推進役として期待されています。
セールスレップとは
セールスレップとは、セールス・レプリゼンタティブ(Sales
Representative)の略称で、
「独自に多数および特定の販売ルートを保有し、メーカー様と販売先を結ぶ橋渡し役として、市場の視点で見ることができる“高い専門性(販売のプロフェッショナル)”と、どこの企業でも通用する“柔軟な汎用性”を持ち合わせる、社外の営業マンとしての人材」
です。
在庫を持たず、仲介・斡旋機能に特化した営業マンである点が、代理店や問屋との違いであり、アメリカでは既にひとつの事業として確立したワークスタイルです。
日本においては上記の点以外に、セールスレップは従来の営業マンではなく、「商品の目利きに優れており、顧客の状況にあった形でマーケティング情報をメーカーにフィードバックし、商材のバージョンアップや用途開発の提案などを行い、当該分野における販売力を有する者」
と定義されています。
つまり、提案、フィードバック、マーケティング、計画、市場等を重んじた
「メーカー企業と販売先を結ぶ橋渡し役として販売活動のプロ」であり、
提案型の販売力を有する「販売のコーディネーター」といえます。
セールスレップシステムの特徴
セールスレップシステムは、メーカー・販売先・セールスレップの三者がともに利益を得る仕組み(三方得)です。三方得になるためは、互いの利益を削り合うのではなく、付加価値をつけていかにプラスαの売上を上げられるかという仕組みが重要です。
セールスレップ取引の主な流れ
@メーカーと業務委託契約を結び、販売の代行を引き受ける。
A適した販売先に商品提案をし、メーカー様と販売先様との間で売買契約を完了
B注文を獲得した場合に
Cメーカーに注文があった旨を伝える。
D販売先様からメーカー様に直接受注書が送付され、
Eメーカー様が販売先様に商品を直送する。
F販売先様からメーカー様に代金が支払われた後
Gメーカー様からセールスレップに販売手数料(コミッション)が支払われる。
※定期的に販売先の市場情報をメーカーにフィードバックする。
という仕組みです。
地域公的支援機関の取組み
今、地方自治体、商工会議所、商工会などのセールスレップ制度の公的導入と研究が高まっているのは、産業特性や産業支援機能の現状を踏まえると、新技術・新製品・新商品開発のための技術や知的資産のマッチングや、基盤技術産業における販路獲得などを担う販路コーディネート機能を始め、企業の経営革新を担うアドバイザーや、マネジメント人材が必要となっているためです。
また、産業支援機関の集積や交通拠点性を活かし、他地域の販路コーディネーター、セールスレップ等とのネットワーク構築も非常に有効となっています。
これらを担う人材を創出するため、官民の産業拠点等において活躍する豊富な産業支援人材をはじめ、企業活動に関する知識やノウハウ、人脈等を持つ人材や民間企業OBの活用を進めてる公的機関が多くなっています。
あとがき
今、いろいろなブログに経済産業省の施策についてこのようなことが書かれています。
経済産業省が関連予算として来年度に5億円を計上しました。各地の特産品を紹介・販売する地域サイトを計30設け、立ち上げ時に1000万円ずつ補助する。サイト同士をつなぐポータル(玄関)サイトの構築に2億円を投じるということです。
公募で選んだサイト運営業者が生産者を発掘し、全国各地の消費者や外食産業、小売店などにつなぐ。買い物代金の決済や配送サービスがない簡易型の商店街なので、購入希望者は生産者と直接契約し、決済するということです。
これにあわせ、地域プロデューサーを募集しているそうです。
この経済産業省のプロジェクトに対する皆さんのブログなどの意見には
税金を投入する額は5億円とか、2億円という文字が躍っています。
これでは「省庁の予算をいかに使い切るか」ということが目的で、本来の目的が抜けている印象を拭えませんよね。この状況の打破には、新・官僚の誕生と省庁を統合してプロジェクトに当たる政治家、国民の厳しい目が必要な気がしますね・・・。 今年は、マルシェ・ジャポン・プロジェクトっていうのもやっています。全く生産者のことを考えずに、イベント主催側で「1億2千万円丸儲け」のようなことにならないことを祈ります・・・。
http://www.marche-japon.org/
マルシェの事業あたり、経費に対して最大1億2000万円の助成金が出ます。
たとえばこのブログでその問題点が指摘されています。
http://vegenews.net/archives/51645244.html
課題は、中小零細の商品の問題は大きく欠品などしな生産数にあります。
大手流通では、救われないのが弱小企業だと思います。
場所貸しで売れなくとも、カネが取れるなら今の不況期でしたらどこの流通でもやります。
さらに大手流通に委託でやっていたのではその系列のデパート、スーパー、コンビニもあり、いくらでも売り場は空けられます。
中小、零細企業のためにはならない国の愚作の支援事業ということに早く気がついて欲しいものだと思います・・・・。
今回の「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」は、単に農水省がそういうブームに乗って、人と物と管理能力を持っている大手流通会社を使って、新たな”市場流通”を作ろうとしているだけに見えて仕方ないのだが・・・。
こういう企画やルール作りは、本来、産地や流通業者の独自な発想で全国各地で自発的に花火の様に打ち上がって来るべきもので(実際そういう動きはある)、国が旗を振るだけでなく具体的にバスまで用意して、それに参加者を乗せてどこか観光地に連れて行くようなことをするべきことではないと思うのだが・・・。
いままで農産物の流通において、産地と消費者を結ぶ仕事をコツコツとしていた多くの会社にとってみれば、なんか釈然としない感覚が残る・・・。
以上、皆様のお便りやブログなどから
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上記に書かれているご意見は、個人的な意見ですが、本当にこの事業は正しいかどうかを、きちんと国も私たちも再度、判断をしなければならないと思います。
たしかに、地域における生産者の課題は、中小零細の商品の問題は大きく欠品などをしない生産数にあります。
以前にも書きましたが、中小企業のメーカーのケースでは、製品サイクルにあわせ、生産のロットが低いときは、殆どの商品がどうしても通販や業務用になってしまうことが多くあります。
大手流通ではミスマッチの危険性を大きくはらんでいるでしょう。
また、地域プロデューサーも、売る地域の市場の視点を捉えないとブラッシュアップすら出来ない状況になりますので、地域プロデューサーはその販売地域をよく理解した人材が選ばれる必要がありそうです。つまり、地域からプロデューサーを選ぶのではなく、地域発商品には出口のマーケットが見える人材を選ぶことが益々重要になりそうです。
「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」も、投書のようにイベント主催側で「1億2千万円丸儲け」のようなことにならないことを祈ります。
今、地方自治体や商工会、商工会議所などが主催している事業のあり方に、国は見習うべきときかもしれません。
農産物の流通において、産地と消費者を結ぶ仕事をコツコツとしていた多くの会社にとってみれば、なんか釈然としない感覚・・・・。皆さんのご指摘のように民に任せるものは、民に任せることもきちんと判断していただきたいと思いますね。
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